皆さんは「英語力を上げるにはとにかく音読だ」と聞いたことありませんか?
「音読が効果的なのはよく聞くけど、知りたいのはその理屈なんだよ!」
「何回も繰り返して時間を使う勉強だから、先に効果が出るという確信が欲しいんだよ!」
と考えている方は多いのではないでしょうか?
私は、ひたすら音読を行ったことで英語力0の状態から上智大学に合格し、大学在学中に独学で英語を話せるようになりました。
私は自身の経験から、音読をすることで
・英文を瞬時に理解できるようになり読む速度が格段に上がる
・英語を話せる基礎ができる
の二つが可能になると考えています。
今回の記事では、なぜ音読をすると速読力や会話力が上がるのか、どのくらいの期間続けて効果が出たか、効果が出る正しい音読のやり方を紹介します。
1. 英語音読をしまくることで出る2つの効果
冒頭で説明しましたが、英語の音読には、速読力とスピーキング力を鍛える効果があると考えています。音読によってこの二つの力が上達する理由を説明していきます。
音読で速読力が上がる理由
まずは、「音読がどうして速読に影響するの?」と疑問を持っている方が多いであろう、音読でリーディングのスピードが速くなる2つの理由について説明していきます。
理由1. 人間は無意識に文章を音に変換して理解しているため
人間は、文章を読んで理解するとき必ず以下の3ステップをたどっています。
人が文章を読んで理解する3ステップ
- 文章を目で追い、文字や単語を認識する
- 認識した文字を頭の中で音に変換する
- 変換された音声情報を基にして、頭の中の辞書から意味を引っ張ってくる
つまり、黙読をしている場合でも脳内で文字を音声として無意識に読み上げているのです。そして、その音となった情報を基に意味を理解しているということです。
つまり、文章を読むとき、音読をして音を理解できてれば、文字を音に変換するのが早くなり、それだけ文章を理解し読み進めるスピードもアップするのです。
理由2. チャンキング能力が上がるため
チャンキング能力とは、文章を文節ごと、意味のかたまりごとに捉える力のことです。
音読のやり方はのちほど詳しく説明しますが、初めに文章を精読して文節の区切りや単語の意味を完全に理解してから繰り返し音読をするのが一般的なやり方です。
自分が良く理解した文章を繰り返し声に出して読み、それを何パターンかの文章で繰り返すことで、感覚的に「ここまでが1つの意味の塊だ」ということが分かるようになってきます。
チャンキング能力が上がることによって読み返しが無くなるのが速読ができるようになる理由です。
音読でスピーキング力が上がる理由
理由1. 自然と発音・イントネーションが改善されるから
音読をする時は同じ文章を何度繰り返す方法が有効です。何度も繰り返すことで、発音やリンキングが身につきます。
また、音源の音声を完全に真似することで、英語独特のリズム、強弱、イントネーションを身に着けることが出来ます。
音読と並んで推奨される勉強法がシャドーイングですが、シャドーイングは、音源の直後に真似をして追いかけるやり方なので、いつでも補助の音源がある状態となり自分の発音のズレや間違いを認識しづらいです。
一方で音読では、自分でリズム感や発音を掴み、自立して英語を発話できる状態を作ることが出来ます。また、余計なノイズがないので自分の音を聞いて振り返ることが出来る点も音読の良いところです。
理由2. 英語の語順で話せるようになるため
音読を繰り返すことで英文を文頭から理解できるようになります。
例えば、
“This old book that I borrowed from the library last week is very interesting.”
は主語が長い文章です。
音読を十分にすることで、「that I borrowed from the library は bookを修飾しているな」や「last week までが主語だな」ということが前から読み進めてすぐに理解できるようになります。
これができると、話す時にも、何かを飛ばしたり語順を間違えることなくスムーズに話せるようになります。
音読で様々な語順パターンを脳にしみ込ませておくことで、次第に複雑な文構造でも英語らしい語順で自然に話せるようになるのです。
2. 私が音読で難関大に合格 & スピーキング力を上げたエピソード
英語音読で上智大学に合格
私は子供~学生時代、特別な英語教育を受けたことはなく、高校3年生の4月時点で基礎文法力が全くない状態から勉強を始めました。
夏ごろには文法を覚え、英語も読めるようになってきましたが、どうしても読んだ文章を一回で理解することが出来ず、英語長文を時間通りに読み終わることが出来ませんでした。
しかし、私が第一志望としていた上智大学の入試は、英語長文の圧倒的な量と難易度で有名だったのです。
何としてもリーディング力を上げなければと思い、取り組んだのが音読でした。たまたまネット記事で読んで「なんで音読をしまくると速読力が上がるのかわからん!」と思いながらも、他に手立てがなかった私は、藁にもすがる思いでひたすら音読をやりました。
使った教材は音声付きの長文問題「英語長文 ハイパートレーニング」の標準偏と難関編です。
8月初旬ごろから約2カ月は、1日90分以上毎日音読を続けました。700words程度の同じ文章を最低150回音読し、次の文章に移るということを繰り返していました。
そこから1カ月と少し経った5つ目の文章が終わる頃には、見違えるほど早く、読み返しをすることなく英語が読めるようになっていたのです。
声に出して読み上げることで、英語を音のフローとして脳内で処理できるようになったから、チャンキング能力が上がり、どこまでが意味の塊なのか瞬時に理解できるようになったからだと、分析しています。
これにより無事上智大学に合格ができました。
音読で英会話が得意に
受験期にやった音読には、その時は想像だにもしない嬉しい副次効果がありました。喉が枯れるんじゃないかというくらい音読をやった私は、気づかないうちに英語の発音がかなり上達していたのです。
他に発音の勉強は全くしていないにもかかわらず、日本で英語を話す限りでは、必ずと言っていいほど英語の発音を褒めてもらえるようになりました。
また、音読をする前には全くと言っていいほど英語を話せない状態でしたが、約2カ月英語音読を続けた結果、英語で言いたいことが言えることが多くなりました。
音読をひたすら続けると、文を丸暗記できるわけではないものの、文の構造が頭に刷り込まれます。例えば、感覚で助動詞を入れる位置が分かるようになったり、make O C のような構文が使えるようになります。
これによって英語が音読をする前と比べて格段に話せるようになっていたのです。
3. では、音読だけで英語を話せるようになるのか
結論から言って、確かに音読は英会話力が高まる勉強法ですが、音読をしただけでは英語を話せるようにはなりません。
音読は、発音や英語独特のイントネーションを身に着ける、英語の構文感覚を身に着けて英語脳を作るという点では英会話に効果があります。
しかし、英語を話せるようになるためには他にも必要な能力があります。
それは、会話に特化したボキャブラリー力と、文章を瞬時に組み立てて瞬時に声に出す力です。これらは瞬間英作文で身に着けることが出来ます。
瞬間英作文は、英語を話せるようになるには必須の勉強法だと考えています。
以下の記事に、私が会話力を飛躍的に伸ばした一人でできる瞬間英作文のやり方が載っているので、参考にしてやってみてください。
音読と瞬間英作文を組み合わせれば確実に英会話力が伸びていくので、是非取り組んでみてください。
4. 速読&会話力UPの両方に効果がでた音読法とは?
私が実際に行って成果を出した音読方法を解説します。前提として、音読はひたすら反復をする英語の勉強方法です。多少根性が必要になりますが、その効果は絶大なので取り組んでみてくください。
STEP1:音声付の教材を用意する
必ずネイティブスピーカーの音声が付いた教材を選ぶようにしてください。音源が付いたものでないと、正確な発音やイントネーションをまねすることが出来ないので、音源付きであることは非常に重要です。
まずは、音声を聞きながら黙読し、どういった内容かざっくり理解するようにしてください。
文章のレベルは、難しすぎないものを選んでください。少し知らない単語が含まれていたり、あまりなじみのない文法が含まれていても、読んでみて大体意味が把握できる文章であれば最適な難易度であると言えます。
STEP2:文法構造、単語の意味をすべて理解する
音読を始める前に、テキストの内容を完全に理解することが非常に重要です。
文章の意味だけでなく、各文の文法構造までしっかり理解してください。
例えば、”The book that I have been reading recently is very interesting.”という文だったら、「thatは関係代名詞で、bookを修飾しているな」だったり、「have been readingは現在完了進行形だから、今も読んでいる途中なんだな」といった形で文法を意識して文を細部まで理解してください。
多少時間がかかっても、文法と文の意味をしっかり理解しておくことで、音読の効果が高まります。
STEP3:まずは10回シャドーイングをする
文章でわからないところが無くなったら、音声に合わせてシャドーイングをしていきます。シャドーイングをする目的は、ネイティブスピーカーの発音をよく聞き真似することで、音の感覚をつかむことです。
このプロセスは、この後正しい音で音読をするため重要なステップです。ネイティブの音を完コピできるようになるまで続けてください。
音源にかぶせて文章を読むオーバーラッピングも同様に効果的です。シャドーイングで音の感覚を掴めて来たら、数回やってみてください。
STEP4:区切りごとに意味を理解・イメージしながら音読する
次に、文章を意味のある単位(チャンク)で区切り、各チャンクの意味をイメージしながら音読します。
STEP2で各文の構造を理解しているので問題ないと思いますが、区切りが分からなくなってしまう場合は/を書き込むなどしてみてください。
最初は、「ここは”be -ing”がでてくるから、今現在何かをしているんだな」といった形で文法と絡めて考えてみてください。
慣れてきたら、文法を意識しつつも頭の中でその文の情景や映像を浮かべたり、自分が語り手になってその文章の内容を説明しているイメージで音読をしてみましょう。
STEP5:同じ文章を最低50回は音読をする
音読は同じ文章で、最低50回は繰り返す必要があると考えています。文章の意味と、そのイメージを完全に消化するのに時間がかかるからです。
ひたすら同じ文章を繰り返すことで、複数の英文の型を脳に蓄積することが出来るようになります。
例えば、”The movie that has won several awards is now showing in theaters.” という一文が出てきていれば、「現在完了形」「現在進行形」「関係代名詞」などを一気に学ぶことが出来ます。
50回以上繰り返すことで「なんとなく覚えてはいるけれど、きちんと使えるレベルになっていない文法や語彙」が記憶に定着するのです。
また同様に、一つの英文をとっても複数の音が存在します。音読を繰り返してリエゾンなどの音の繋がりを覚えることで、脳内で瞬時に文字が音に変換されるようになり、結果速読力が上がります。
ちなみに私は大学受験生時代、同じ文章を150回は繰り返し音読していました。是非皆さんも繰り返しやってみてください。
5. 音読で効果を出すのにおすすめの教材
初級者(TOEIC ~500点レベル)向け
『みるみる英語力がアップする音読パッケージトレーニング』がおすすめです。この1冊の参考書で、音読、リスニング、リピーティング、シャドーイングをすべて行うことが出来ます。
それぞれの文章が200words 程度で構成されており、1分程度で音読ができるので、繰り返しの練習に最適です。
中級者(TOEIC 500~700点レベル)向け
音読用の教材ではありませんが、中級者には、Z会の『速読英熟語』がおすすめです。
各熟語に200語前後の長文が付属しており、熟語の実際の使用例を学べます。また、単なる暗記ではなく、文脈の中で熟語の意味や使い方を理解できます。
早慶レベルにも対応しているため難しい熟語も出てきますが、各エピソードの内容は理解しやすいです。内容も「なるほど!」と勉強になる物が多いので、楽しく音読できる教材です。
上級者(TOEIC 700~レベル)向け
上級者の方には、英語を学べる様々な動画が揃う「Digital Cast」の「TED日本語」を音読に活用することをおすすめします。
このTED日本語コーナーでは、英語字幕と日本語字幕を同時に表示しながら音読ができます。ネイティブの自然な発音やイントネーションを学べるため、スピーキングの強化と相性が良い教材です。
TEDトークは多様なテーマを扱っており、自分の興味のあるテーマを選んで音読ができるため、何度繰り返す音読でもモチベーションを保って勉強ができるはずです。
まとめ
この記事では、私が音読をしまくったことで難関大学に合格し、英会話力を上げた経験を踏まえて、なぜ音読に速読力やスピーキング力を上げる効果があるのかを説明しました。
音読のポイントは、読んでいる文章の意味や文法をしっかり理解しながらやること、あとはひたすら回数を重ねることです。
何度も繰り返すことで、脳が英文の構造やボキャブラリー、英語の音を吸収していきます。
音読は、速読力、発音力、構文把握力をあげるのには必須で取り組むべき勉強法なので、みなさんもこの記事のやり方を参考にぜひ音読に取り組んでみてください!
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